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刷新されるスカンジナビアン・デザイン

20世紀半ばに黄金時代を迎えたスカンジナビアン・デザインは、シンプルかつミニマルで高い機能性を特徴とし、ジュエリーの世界でもシガード・ペアソン(Sigurd Persson)(1914-2003)らが広く影響を与えましたが、時代とともに人々の趣味や考えも変化します。

新時代の到来を象徴する作家がノルウェーのトーネ・ヴィーゲラン(Tone Vigeland)(1938-)です。ヴィーゲランは当初、スカンジナビアン・デザインの遺伝子を色濃く受け継いだ、金属の光沢とスッキリした造形を得意としましたが、やがてもっと自由な表現への欲求がめばえるようになります。

そして、試行錯誤の末に生まれたのが、のちに彼女のトレードマークとなる「反復」の手法です。ヴィーゲランは同じパーツを数えきれないほど大量に作ってつなぎ合わせ、ずっしりとした重みの心地よさと金属らしからぬ滑らかさをもつジュエリーを編み出しました。

仕上げも注目したいところです。造形美が際立つ黒くいぶしたシルバーは、ミステリアスな明暗のコントラストを織りなします。ヴィーゲランはその独自の作風によって典型的なスカンジナビアン・デザインからの脱却を果たしました。

ヴィーゲランの仕事は今回のテーマと必ずしも合致するわけではありません。ブランド スーパーコピー おすすめが、マンネリズムからの脱却を遂げ、ファッションやアートの世界をも魅了した彼女はまちがいなく時代を象徴する作家のひとりに数えることができます。

シルバーを好んだヴィーゲランですが、若いころには友人から譲り受けた釘を使ったジュエリーも作りました。釘らしさは厳然と残っているのに、釘を一切使わないシルバーの作品と一緒に並べたら完全に溶け込んでしまうほど、その表現は一貫しています。

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